お聞きしても宜しいでしょうか。
[ゆったりとした足取りで近付きながら、口を開く。]
僕は、もう戻れませんか。
[自分自身でも嫌と言うほど解りきったものだが、
少なくとも再び会いたいと思っていた彼の口から
明確な答えが聞きたかった。
今度こそ踏ん切りを付けようと思ったのかも知れないし、
彼の子で在る為であったかも知れないが、
実際どのような意図を持って投げ掛けたのかは
一番自分が良く解っていない。
彼からの答えを聞く頃には、身体は腕の中。
往生際悪く頭を胸に押し付けるだけの形であるが、それなりに
信じているという証にもなるだろうか。]