………ああ。僕とは比べ物にならないくらいに
素晴らしい才能を持っていた人だったよ。
それに大切だった、んだろうな。
会えなくなってからは暫く塞ぎ込んでいたからね。
[ 客観的に見れば学者の言い回しから事情を薄々
察するところがあったかもしれない。>>145
…少なくとも、今現在親交があるような言い回しを
ロー・シェンは一切しなかった。……むしろ、
遠い過去の話のように他人事めいた言い方をした。 ]
今でも、…僕の代わりに … が、
[ ぽそりと呟いた声の全ては
きっとカレルへ届くことはなかっただろう。
聞き返されたとしても、困り顔で何でもないと示すだけ。
その気まずい間を払うように新たな話題を口に登らせたら
―――― 空色の瞳に似た色の記憶が鮮明に呼び起こされた。 ]