[ただ、小さな呟きが唇の奥で零れるのみ。
すぐに表情を引き締め、カレルへと声をかけた。]
俺はともかくとして、シュヴァルベに初めて来た者も兵には多い。
少しそちらの手勢を借りて、うちの隊長達に地理の説明などをしてやって欲しい。
俺は……少し、見回ってくる。
[話に聞くよりも、懐かしい土地がどうかわったか、この目で見る方が早いだろうと。
自身で馬を駆って、様子を見てくると、そう伝えた。
無論、制止の声も上がるだろうが。
剣の腕には覚えがある故に、そんな声を一笑に付し、再び馬に跨がった。
シロウやカレルが共に来るならば拒みはしないが。
他の兵の声は振り切り、馬の腹を蹴った。]