― いつかの朝 ―おい、カレル。[片手にパンやスープが載った盆を手に、こんこん、と扉をノックしながら中に向かって呼び掛ける。返事はない。]また引き籠ってんのか?お前は外に出てるのか、引き籠るか極端過ぎだぞ。[扉を開けてするりと中に入り、寝台で布団にくるまっている蓑虫の背中をつつく。―この猫は自分よりも気儘だ。部屋で引き籠っているかと思えば、ふらりと外に出て。人知れずまた部屋に帰っていたりする。しかし、自分はそんな彼の行動が嫌いではなかった。]