― Nルーム ―
[淡い光に護られるような空間の仲、
銀色の繭の並ぶうちのひとつ、
アデルの遺体の安置されたコクーンの前で。]
……アデル、
君が難病の治療法を見つけられる日を、願っていたよ。
今頃は、あのお友達と会えているといいね…。
俺のことも、応援してくれてありがとう。
[彼が、話してくれた友人の人格と共あったとは、
知り得る術のないまま。
蓋を占めるまえ、クレメンスが集めてアデルの手に握らせた、
砕けたペンダントの欠片を>>2:369
なるべく元の雫に近くなるよう、胸の上のペンダント部分に
綺麗に並べなおした。
それを壊したのがローだとは、知る由もないまま。
きっと、彼にとっては大切なものだったのだろうから、と。
もしもその瞼がひらいているようなら、そっと掌で閉じやってから、
静かに眉の蓋を閉じようとしたのだったか。]