「なんでそんなん必要なのかー、言うんは、まあ、恐らく理解できんでしょけど。
……『始原の秩序』いうんは、そーゆーモンなんですわ。
『完成した世界』と『絶対秩序』、どうあっても相容れんモンを同時に求めるが故の矛盾ってのは、えらい面倒なモンでしてなぁ……。
巡りがブレさえしなきゃ、発生なんぞせんのですけど……まぁ、ここは詮無いですわな」
[言いながら、影はふ、と遠い目をする。
けれど、それは一瞬のこと]
「……さてさて、それじゃあお役御免の影は引っ込むとしましょかねぇ。
あんたさんたちがどーしても、『始原の秩序』を止めたいいうんなら、まずは力を集めて散らすといいですわ。
なぁんせ、力のカタマリですからなぁ……直に突っ込むと、火傷じゃすみませんからなあ」
[くく、と楽し気な口調でそう告げると、影はどこからともなく取り出した鈴の束をしゃらん、と鳴らす。
応じるように、五芒星の広間全体が揺ぎ──その場の事象諸共、溶けるように消え失せた。*]