[ふ、と、視線を空へと向ける。
学館に戻った後も、頼まれ事の関係で連絡を受けて里の麓まで戻る事は幾度かあった。
回収されたもの──銀色の箱っぽいもの、という大雑把な括りのため、もしかしたら単なる破片やらも紛れているかも知れないが、とにかく、『山にあって不自然なもの』は、里の若者の手も借りてシュビトまで運び込んでいる。
そんなわけで出入り頻繁な落ち着かない日々を過ごしていたのだが]
……なんにもなきゃ、いいんだけどなぁ。
[ぽつ、と零れる小さな呟き。
行き来の最中、里の者から聞かされたのは、一族の領域が少しずつ侵されているらしい、という話]
棲み分け、できてると思うんだけど。
……北島の連中みたくはなりたくないんだけどなぁ。