[微かな呻きに視線を走らせれば、骨の砕けた脚でなお立ち上がろうとするディークの姿>>152]
――分かるでしょう、止められないのよ!
私も、彼も、自分の意志では止められないの…!
[彼を眼前で再び傷付けた相手の言動には、苛立ちが募るばかり。
けれど――目の前の人物は、一度は自分を庇うような真似をしてみせた相手でもある。
手を離す素振りもないのを見てとれば、堪らず叫ぶ>>173]
封じるつもりなら、武器なり何なり使えばいいでしょう!?
だから、早く手を離して…っ!
[迸りかけた魔力は、握り込む掌に反発するかのように逆流し、体内を巡る。掌に伝えるのは、ひやりと凍みる感触のみ]