― 少し前・二階個室 ―
[ジークムントが武器庫へと向かうのを見届けてから、密やかに息を整え、唇を引き結ぶ。
避けたかった事態を自ら招いた自分に、内心毒づきながら。
庇ってくれる彼らの傍には、事が差し迫らない限りは、近づく心算はなかったのに。
護るべき存在の前で、ジークムントやギィのように、強く振る舞える者も居る。
護りたいものに面して、理を見失う者もある。
――己がどちらに属するのかは、二年前に思い知ったというのに。
望まぬ種を揺り起し、自ら枯れぬよう、目の届く所にいるよう、呪で縛ってまで掌中で育む程に]