―最期―
[ゆっくりと重たい瞼を開く。
意識がある、どうやら即死は避けたようだった。
それでも少しずつ冷えて行く身体と動かない四肢に、もう長くないと気付く。
次に目を閉じた時が、きっと終焉。
霞む目を、それでも何やら探し物をしているヨアヒムへと焦点を合わせる。>>163]
すまなか、った。
[弱々しい声は、想像以上に音になってはくれず。
ヨアヒムに届く前に溶けて消えて行ったかもしれない。]
(ずっと謝りたかった。)
[長年後悔していた。
自分があの時ちゃんとリーザを告発していれば。
ヨアヒムの両親も…リーザ本人も、死ななくて済んだんじゃないかと。]