…大分、大人っぽくなったな。
[ 邪魔だろうと言っても絶対に切ろうとしなかった長い髪を、ばっさりと切り落とした少年の心境は気にかかった。けれど男が、その内心に踏み込むことはなく、ただ見守り続けるというスタンスも崩しはせず ]
[ シュテルンが士官学校の寮に入ってからは、男の仕事の忙しさとも相まって、顔を合わせる事は少なくなった。
それでも、折々に士官候補性の訓練成果を見せる公開教練があれば、出来る限りの時間を作って男はそれを見学に出掛け、やがて、彼が、一人前の水上機乗りとして、シコン港に駐留する艦に配属される事になった時には、祝いの酒も贈ってやった。
いつか、共に呑もう、と、まるで父親が息子に夢見るような願いを密かに込めて* ]