「行かなくて良いのですか。」
行かへんことに理由いんの。
「……いえ。」
[音の元へと去っていく氷槍の少女の背中を見つめながら契約者が問えば、傀儡はさも不思議そうに問を返してきます。
本当、興味のないことには関わりたがらないのですから。]
いろんなとこから音やら何やら聞こえてくんな。
「ほかのさんかしゃでしょう。見に行きますか。」
気ぃ向いたらな。
[傀儡は、西階段の三段目に座りこみ、正面にある厨房の扉をじぃと眺めております。
今の身体に慣れていないのか、少しばかり疲れてしまったのか。
黒の双眸は、いつもよりも少しだけ、沈んだ色を浮かべております。]**