確かにそうだ。
鬼族の食べ物も悪くはないけど、こんな風に「美味しい」って思うことはなかった。
[土地の貧しさや他国との断絶を、持ち前の豪快さで誤魔化してきた部分もあっただろう。
下層で触れた感情の澱みを思い出しつつ、トーマスの料理を口にした時の『幸せだ』という感情を思い。
トーマスの傍らのシェットラントに、軽く笑みを向ける]
何も言わずに接してくれるってのも、それはそれで有難いけどね。
[それは島を訪れたミリアムや、ここに居る面々に対しても思っていたことで。
しかしトーマスが示してくれたのは、その"先"のこと]
うん、そうだ……。
この美味しさを、島のみんなにも。
――周りの人たちにだって、知ってほしい。