[少し息を溜めて、感情を一気に吐き出す。]
なんで……どうして……もっと痛くするようなこと口にすんだ!
[どんどん声が大きくなって、食堂に響きはじめたことが自分でも分かっていて、でももう止められなかった。気持ちが吹雪のように吹き荒れて、制御できなくなっている。]
俺は、俺は。さっきからパメラを手にかけたのは、ひょっとしたら止むを得ない事情なのかなって、必死にお前を糾弾しそうになるの、我慢してたってのに。
[だから本当はこんなこと言いたくないし、言うつもりもないのに、と人間の情が叫んでいる。男は自分でも意識しないうちに涙を流していた。]
もういい!俺はちっと頭冷やしてくる。
[これを聞いたらニコラスが傷つくだろう、悲しむだろう。
理性の欠片が訴えているのに目を逸らすように、男は大股で食堂を出ると、バタンと扉が壊れかねない勢いで閉めた。*]