人狼物語−薔薇の下国

297 吸血鬼の脱出ゲーム


碧眼 シルキー

[己を掴む女性の力が緩んだ瞬間を逃さず、金糸雀はするりと手から抜けだした。未だ吸血を諦めきれぬといった様子で、その場を何度かくるくると飛び回ったが]

ぴぃ、ぴぃ、

[お、おぼえていなさいよ!

漸く諦めがついたのか、そんな三下の悪役みたいな捨て台詞を吐いてみるのだった。そして腹いせとばかりに翼で湯船の表面を叩いて、耳を庇う女性の顔の方へとお湯をはね上げた。

相手にきちんと湯がかかったかどうかも確認せずに身を翻して、金糸雀はいまだ蠢くスライムの横をすり抜けて逃げ出した。
ヒトの姿を取っていたならばきっと半泣きだったに違いないが、生憎金糸雀の姿。その表情を理解するものはきっといまい。*]

(179) 2015/02/02(Mon) 19:07:33

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