― 夜・学校跡地 ―
[眠れない夜、拠点内を放浪するのはいつもの癖だ。
無理に身体を動かすと後に響くので、眠れるようになるまで歩く。時々止まって物思いに耽る。
それでソマリと話をしたり、カレルと話をしたり。
この夜は、冷ややかな視線を離れた場所に注いでいた]
……。
[かつて、ヴェステンティーゲルと呼ばれた場所に響く水の音。>>113
毛並みを梳かれている内の一匹の足にされている手当て。
つまりあれは、シロウ=ファーイーストが使っていた犬]
…………。
[撤回されない限り、受けた命令を違えることはしない。
ただ沈黙したまま遠目にその光景を眺めて唇を歪めていた。
人にでも犬にでも見つかりそうになったなら、何も見ませんでしたというようにワザとらしく背を向けて。踵を返しその場から離れた]