[たった今、己を近衛に任じた公子が守人との交渉に臨むのを、もはやこれ以上の荒事はあるまいと見送ってあっさり背を向ける。近衛だからと言って、常に側に控えるような殊勝さは持ち合わせていない。主が破天荒ならば、従も型破りだと、人は案外に似合いと言うかもしれない。この場にいない世間の評判とやらはともかく。弩を預けた人物の前へと歩み寄った。] 助かった。[霧の魔物を倒すのに助力を得た時と、まったく同じ調子、同じ抑揚で礼を述べ、弩を引き取るべく手を差し出す。]*