[どこからその力が湧きだしたのだろう。――――渇望か、それとも飢餓か。差し出した指は男の手によって支配を奪われ、生暖かい咥内に包まれた。粘質な音と共に舌が傷口を撫で、溢れる血を一滴も逃さぬようにと吸い付いてゆく。一途に、無心に貪る様子に、こみ上げるのは愉悦と、僅かに残る母性]………よく出来ました。[悪辣に歪む微笑みを湛えながら、唾液に塗れる指を口に含む。男が先程していたように舌で撫で、態とらしくちゅうと音を立てて吸えば、男の顔は更に色が悪くなるだろうか]