………あれはチューリップと読むのか。
[この男も読めなかったようだ。というよりも、花の名前など興味がなかったのかもしれない。
問いかけと共に持たされて、かなり渋面となる。]
………いらない。返してこい。
装飾品?この辺は鉱石も取れるのか…?だが、何か付加価値の付いたものならともかく、ただのアクセサリーの類なら必要ないな。
値段が張るのなら尚更だ。
[己の瞳と同じ、と言われ瞬きをひとつ。だが、見に行くこともせずただ首を振っていた。みたところで買えるわけでもない。
だが…そういえば昨日はついてすぐに宿に来たせいで、村の中をまったく見ていない。このあとのことを思えば、いくつか買い足しておいた方がいいものもあるかもしれない。
そう思い立つと、改めて少女へと視線を向け]
ちょうどいい。このまま少し村を回るぞ。渓谷に行く前に買い出しだ。
[そして、相手はついてくるものと思い込んでいる風でそのまま宿の外に向かって歩き始めていた。]