[時間ならたっぷりとある。材料なら羊の毛で作られた糸がある。編み物針は司書の女性が譲渡してくれた。ありがたい話である。最初は不格好だったが、3年をかけて売り物になりそうなところまで仕上げられるようになり、3年をかけて村人の数と同数のマフラーを編んでしまった――そう、去年の冬のことだ。店に来た者には半ば押しつけるような形でマフラーを渡したものの、そういえばどれだけ残っているのやら]