― ローバンス ―
[その街には、どれ程の人が残っていたであろうか。
目先の利く者はとうに逃げていたかも知れぬし、
地下に潜りじっとしていた者もあったであろう。
そうした人々は、その賢明さによって自らの命を救った。
だが愚かにも、もしくはいじらしくも街に残り、
その中にあっても外を出歩いていた者、
天使は軍以外を襲わないのだと高を括りはじめていた者、
そのような人々は愚かしさのつけを払うことになる。
天使が舞い降りて、人々を殺すことはなかった。
その点に於いては、
当初の襲撃の如き凄惨さには及ばなかったと言っていい。
────けれど。
伝統ある建物は降り注ぐ輝きにより打ち壊され、
地上に上がった炎はいくつもの悲劇を巻き起こした。]