......扶翼官殿だけなら、釣りに出かけたという可能性も捨て切れないが、皇帝陛下も、か。確かにそれが本当なら重大事件だな。判った、よく知らせてくれた。なにかあった時のための心積もりはしておこう。
[ 考えこむ風に口にしながら、しかし、男の声に切迫した響きはない。
事務官は、この失踪事件がウルケル軍の仕業と疑われる可能性を憂慮して知らせに赴いたようだが、おそらくそうはなるまい、と男は半ば確信していた ]
[ 何らかの異常事態が起きて、あるいは単に何かの気まぐれで、2人が姿を隠したのだとしても、共に消えたというのなら、共に戻ってくるに違いない。
たとえ、そこにどんな危険があったとしても、モルトガットの太陽と、その翼が、共に在って、沈むことなど有り得ない ]