[ああそういえば、と、すっかり忘れていた自分の薬のことを思い出した。
ポケットを漁ってみるも、もうほとんど持っていない。
ジークムントに声をかけようかとも思ったのだが、慌てて部屋を出ていく様子に口を噤む。
あの種類を全部探してもらっていては、時間がかかってしまうし、
ちょっとこの状況で、周りに心配をかけたくないし。
そういうことを言っている場合でもないのかもしれないが、ともあれ、躊躇いの方が勝った。
自室に戻ればあるのだから、いずれ折を見て補充しよう。
疲労は酷いが、神経が張りつめているからか、亜空間ジャンプ前後には酷かった体調もそこそこ戻り、動くことには差し支えない。]
あ、センセイ、水貰うねー!
[とひと声かける。
返答が聞こえなかったとしても、水道から水の一杯くらいは貰ってしまったと思う。
まあ、これで、大丈夫。]