[簡素な天衣は、一部が無残に引き裂かれてしまい身体の至る所が曝されている。視界に収めれば、天使には本来有り得ないものが付属しているとすぐに解る程に、だ。足の付け根に手をやれば、先程の負傷の名残が掌に付着する。受肉してしまえば、光となって散る事も叶わなくなるのだなと、今頃になって思い至る。天使として見られる部分は、もう翼くらいではなかろうか。これだけは変わらないが、先端の淡い黄色が不安げに揺れる。]……戻らない。[しばらくの沈黙の後の決断は、やはり。]