― ベルサリス学館・5年前 ―
館長の遠縁の……?
[教師、職員にキールと名乗る娘が時期はずれの編入生として紹介されたのは5年前。
その家の教育方針なのか、貴族の娘が一時期勉強のためにくることは今までもあったことだし、そういう娘はやはり振る舞いや容貌が目立つものだ。
そうして上流階級の娘を見たことがある身であったが、それにも増してキールは服装こそ簡素なものではあったが目をひく娘だった]
キール。ようこそベルサリス学館へ。頑張れよ!
[そう声を掛けて、ぽんと肩を叩く。
その際、顔がにやけていたのは多少は仕方のないことだろう。
キールの正体を知るのは、それからすぐ後。
館長からこっそりと打ち明けられたのだった]