おにいさま、『手を』、……[そう言って、重ねられた手を握りしめた。頬への口吻は軽く目を閉じて受け。舐めるように移動する兄の唇にぞくりと背筋を戦慄かせる。抵抗は、しない。少女は唇を僅かに動かし、己の首筋に埋まる男の耳元に囁いた]『連れて行って』[男の服を握っていた方の手から力が抜けて。だらり、宙に揺れた]