>>145― 城内 ―――何うした? 妾の血の一雫で満ちたか?[唐突に身体を離したセルヴィンに声を投げる。彼が露わにした反応を見、少女はゆるりと首を振った。その肌にたった今の吸血の痕跡は、既に無い]……度し難い愚物よの。否、せめて憐れむべきか。神などもう、この世界から去ったというのに。[古老の声だけが残響を残し、消え失せた頃。青年吸血鬼を置き去りに、少女は姿を晦ませていた。]