ユーリエ、怯えずとも良いよ。 バルティは淑女の手解きを心得ない男だからね。 腕は確かだけれど、洒落を聞きやしない。 けれど、彼が一番、君を護ってくれるかもしれないよ。 彼は―――…希望の盾になる男だからね。[微かに肩を震わせたユーリエへと軽い口調を飛ばす。軍人の怒号など右から左と慣れた身だが、少女の違和感を見過ごすのも、男の廃れる話。バルタザールの横顔へ視線を投げ、同意を求めるように首を捻って見せた。]