[この魔軍の中にあって、彼は魔王様のひときわ古い知り合いだと…魔王本人から聞いた。
見た目だけでいえばシメオンは、ニンゲンの街の若者に混じってもバレないくらい――別の意味で目立ちそうだけど――な容姿をしているが、魔物にとっては外見など意味が無い。蓋を開けたら何百年…なんてのはよくあるハナシだ]
キミなら“おじちゃん”にぴったりだよ!
『ワタシたちはそう確信したわ』
[…もし。ここでシメオンが断固拒否をしていたら、双子は素直に引き下がっていたことだろう。
だが許可が下りた。つまり、…――喜んでくれた!と、都合のいい解釈をして、以来双子は“おじちゃん”呼びを続行した。
格段に親しかった訳ではない。
それでもその後もシメオンのところに時折遊びにいったのは、彼を“おじちゃん”と呼んだ時に少し浮かべる渋面に…他の魔にはない体温みたいなものを感じたからかも、しれない**]