確かに、私はノーラの名前を口にした。
そのタイミングで通信が途切れたから
誤解させたのだろうと思う。
……もう少し早く、私がそれに
気づいてやっていれば。
[そう仕組んだのは自分だけれど。(>>161)
ヒトの心が戻ればちくりと痛むから。
だから真実に近い嘘をまたついて、
そうして娘は逃げる。
逃げ切れるはずもないのに]
……それを、信じたいよ。
信じても良いのかもしれない。
けれど、それでも皆に一言あっても
よかったんじゃないか、とか。
……今更、そんなむかし話。
[そう、今は、今を生きるしかないのに。
どうしてそんな昔話をしてしまうのか。
体がかたり、と震えて。
どうしたものかな、と迷いが生じる。
なにに?生きることに!]