[こちらの槍が銀髪の男を掠め、それと同時に男の剣が振り下ろされる。]
――――避けろ!
[コンラートの強い声に白竜が反応して急浮上する。
身体にかかる上から押さえつけられるような圧迫感に低く呻いた。
それでも剣を躱す事は出来ただけ重畳と言えよう。
白竜の瞳が怒りに揺らぎ、ゆるりと大きく翼を広げ。]
――――ダメだネージュ、止めてくれ。
[カッと口を開いてその鋭い牙を見せるのに、首に縋り付いて止める。
ブレスを使わせてはいけない、それ以上やらせれば白竜とてただでは済まない。
白竜は剣も届かない上空から殺気を込めた視線でジークムントを睨めつけ。
コンラートもまたじっと彼を見つめる。
アリーセから渡された紅の液体を使うべきか。
逡巡しつつ友軍が間に合うかどうか、機会を窺っていた。]