[ 事態がどうやら不穏な様相を帯びていると知れたのは、沖合に停泊中のウルケル軍艦に、モルトガットに駐在する事務官が人目を忍ぶようにして訪れた為だった ]
事務官の出入りは、基本自由という取り決めにはなっているが...大丈夫なのか?
[ 今は友軍とはいえ、停船指示を受けている軍艦への訪問だ。モルトガット帝国側が面白くないと感じることもあるだろうと口にすれば、漁船にこっそり便乗させてもらったので露見はしていないだろうとの答えが返る ]
...そこまでしてここに来たということは、よほどの用事だろうな。何があった?
[ 問えば、これは確定情報ではないのですが、と前置きして、事務官は、モルトガット帝国の扶翼官が姿を消したらしい、と告げた。更には、皇帝その人も行方が知れないという噂もあるという ]