― 回想 ―
[ 結局、傭兵達は去っていった。だが見限られたのだとは思わない。見限るなら、先に突出し過ぎた彼を見捨てれば良かったのだ ]
『…置いて逃げるしかなかったから、見捨てたと思われたんでしょうか?』
[ ロー・シェン達が海精軍についたと判った時、再び副官が問いかけてきた。ずいぶんとしょんぼりした様子だったのは、共に戦った二ヶ月ほどの間に、彼なりに傭兵達への考えが変わったからだろう ]
思われたかもしれねえな。あいつらを取り戻す為だけに交渉する余裕は、実際に俺達にはねえ。
[ 彼がすぐに動けたなら…その悔いは残る。だが、そもそも彼が倒れなければ、傭兵達が取り残される事はなかったのだ。それは悔いても詮無いことだった ]
だが、あいつらはやっぱり生きて戦ってる。
俺たちも生きて、奴らに落とし前つけに行こうぜ。
好きで見捨てたわけじゃねえって、知らせてやりにな。
『……はいっ!』
[ どこか泣きそうな顔で頷いた副官は、無事に生きて戻れたろうか? ]