ーー回想:シュナウザーとーー
[すぐに場所を用意できる、デキる男は違うななどと感想をもったが、きっと彼はそんなこと思ってないだろう>>173]
単刀直入に言わせていただきます。
私はあの文書は本物だと思っております。
[この言葉の意味がわかりますねと言って風に彼は首をかしげた。
シュナウザーの前で彼は玉座での証言が嘘だということを言っているのである]
私もここ数日出回っている不穏な噂を耳にし、
考えるところがありました。
私も貴族の端くれ、いろいろなお話を
耳にする機会が多い。
例えば、弱みにつけいり、
金銭を要求する役人など……は、よく聞く話ですね。
[彼はシュナウザーとの立場を対等になるように社交場で小耳に挟んだ噂話を投げかけた。
それがシュナウザーに響くかどうかの確信はなかったみたいだけど]
元老院は国王陛下の死には関わっておりません。
そして、あの場で国王陛下の御遺志が偽装されていると
声をあげた者は軍人でした。
これは暗殺までもウェルシュ様を支持する者に
なすりつけるためではないでしょうか。
[国王様の文書に国王様の死ーー、文書を偽装したものがいるとして、それを本物にするための国王殺し。あまりにも短絡的すぎないかと彼は考えていた。それならば、文書は本物であり、本物の文書を偽装と見せかけるために国王様の口を亡くしたほうがすんなり納得がいく話だった*]