―少し前・談話室―
[シモンの言葉に>>138、目を伏せて首を振る]
――僕は至って冷静ですよ。
それを言うなら、シモンさんこそ自分の姿勢を崩さないように取り繕おうと焦っているように見えます。……さっきから、意図的なのか答えて頂けていない言葉もありますし。
[続く言葉にも口調は変えず、首を傾げる]
……何を、不思議がるんです?
異端者として殺されるのと、ただ死ぬのとでは全く違います。
異端者として死ねば咎が許されることはなく、その魂に救済も休息もない。神の愛に触れることもなく煉獄に叩き落され、永劫に苦痛を味わうことになる。
精神を守る肉体という器もなく、休む事も許されない。
けれど、贖罪を果たして息絶え、肉体から離れた魂は神の元に導かれ救済と休息と安寧が与えられる。
神は我々を見守るだけで、手を差し伸べてなど下さらない。どうせこの世に救済などないのだから、死だけは平等に与えられるべきなんです。
[それが、旅の中で悟った真実であり、生涯、曲げることはないだろう]