―3年前の冬―[少年は都会の親戚に引き取られ、村を離れた。だが、依るべき相手を失った後。放浪の旅に出たつもりが、足が自然と故郷を向いていた。雪景色に魅せられるように、真冬の深夜に豪雪の中を歩く。懐かしの宿へとたどり着けたのは、奇跡といっても良かっただろう。いまだ生々しさの残る顔の傷跡を雪にさらしたまま。かつての少年は、再び銀嵐の中へと戻ってきたのだった。]