>>140 タイガ
――痛いな。
[後頭部を乱暴に引き寄せられながらも、その口調は淡々と]
ああ、確かに驚いたね。
僕もすっかり、彼女が巨人だと思っていたから。
[だが、眼鏡の下の眼光は衰えず]
この事実を知った時に、皆が気力を失ってしまうのが怖かった。
だからそれを維持するために、何でもするつもりだったよ。
我々とキアラは等しく、巨人に騙された被害者で。
キアラはその身を犠牲に、命を賭けて巨人と闘いぬいた英雄で。
巨人は悪で、僕らは正義で。
……ああ、なんとわかりやすい価値観だろう。
[唇の端を吊り上げて]