[少しの間、シュヴァルツアインの傍らに留まるかに見えた巡洋艦が動き出す。彼らが東に向かう意を見せるを見て取って、アードラーは再び砲を構えた。
既に艦首主砲は使い物にはならず、前方副砲もその役を果たしはしない。艦は海流に弄ばれ、やや左へ回頭しつつある。
アードラーに二隻の巡洋艦を追う力は、最早残されていない。けれど後部、未だ生きている副砲は動かされ、旗艦らから離れた巡洋艦へと向けられた。
再び甲板上に轟音が響く。
前方、敵戦艦から放たれた砲弾>>168がマストを直撃した。
頭上より落ち来るマストに、怒号と悲鳴が重なり響く]