[見張り台から、上がる声。
鎖となった風が、海の龍へと絡みつき、その動きを封じる]
……いよっ、とお!
[それに合わせて舳先を蹴り、同時、全力で鋼糸を伸ばした。
龍の鬣に絡みつく糸、それを手繰って龍の背を強引に駆け上がり。
頭までたどり着くと、不安定に揺れるそこを蹴って、更に跳んだ]
あんたがなんで荒れてんのかは知んない、けどっ!
[言いながら、掲げる右手に現れるのは、焔纏いし金の爪]
しょーじき、こっちゃ、
[狙い定め、降下する。妖の金瞳が見据えるのは、龍の角]
迷惑、なんだよっ!
[宣と共に、全力で繰り出す一撃は、海の龍の片角を捉え]