ねえ、サーラ。
僕からも君に渡したいものがあるんだ。
[ 取り出したのは持ち歩いていた黒い箱。>>2:11
彼女が拒まなければそっと華奢な掌に握らせて。 ]
これを、…船がチグリスに着くまででいい。
預かっておいてくれないかな。
[ 是非を問う意味で緩く首を傾ける。
アクセサリー一つが入る大きさの黒い小箱は
その小さな見た目に反して、
衝撃や爆発でも壊れることがなく>>0:213
貴重な研究資料も傷つけずに運べる器だけれど、
外からその中身を窺い知ることは出来ない。 ]
何があるかわからないからねえ
貴重なサンプルを紛失してもまずいんだ。
だから、ね
[ 言葉を区切り、ロー・シェンは、
空の色を切り出したような瞳を見つめる。 ]