水を。[求めて水盆をもってこさせると、その中に唾を吐く。そして、自分の周りから人を遠ざけるように、水を周囲に撒いた。] 虚の、満つる世界なり、 微塵数の、香の、ひびきの…[詠唱の最中、今回もイングリッドに礼のひとつも言っていないことを思い出したが、もう遅い、と思う。まだ立ち上がれない、と気づかれてはいけない。術に専念しているふりをしなくては──**]