……もう六年もなるのか。
[暫しの間アイリの両親の墓前に黙祷を捧げてから彼女に声を掛けた。
さて、その間どんな話をしたのだろうか?
他愛の無い雑談を交えながらも告げられる話は、幼馴染との婚約や象の退治のそれに流れが変わる。]
あぁ、もうそんな事が有ったのか。
早いな、時間が流れるのも。
それにしても、リヒャルトと縁談か……俺には何も言わなかったのは水臭い話だ。
ともあれ、先ずはおめでとうと言わせてくれ。
[多忙故にフォールデン家とラバル家の縁談は聞く機会は無かった。
この場ではあれど、微笑を浮かべてアイリへの祝福の言葉を送る。
国を守る為に尽くし個人的な世話になった者の娘と、数少ない友人の真面目な幼馴染との縁談は立場抜きにしても目出度い話だ。]
彼奴は根が真面目な奴だ。
だが、何処かしら不器用な部分もある。
だからあまり困らせないでくれよ?
[アイリの血気盛んな一面を知る此方とすればそんな忠言を入れてしまうが、其れでも嬉しそうに語ってくれるならば此方もまた喜ばしい事であり。
象退治の話になれば、死者を出さず近隣の被害を抑えてくれた功績を認め感謝の態を示すつもりだ**]