(狐…狐…そういえば、
ここらで狐を山の中に返した記憶があった。
まだ子狐で足に怪我をしていたような気がする。
たしか、目の前の彼女のような―――)
そう、綺麗な銀色の…!
あの狐の、君は、飼い主?
[飼い主。と言うと違和感が残った。
狐の飼い主になんて、あってないはずで、
なぜ彼女が俺のことを知っているのだろうと
考えを巡らせるが思い浮かばなくて。]
あの狐は野生じゃなかった…のか?
[視線を彷徨わせている女性を不思議そうに見つめた。]
俺は、ミヒャエル。
ユーリエは、なぜ俺のことを知ってたんだ?