― 庭園 ―ええ、そうなのでしょうね。…いえ、身内でも他の村人と等しく扱うのは村長として素晴らしい人格者だと思いますよ。[まるで以前から青年の父親を知っている様な口振りだった。あの人はそういう人間だ。いや、そういう人なのだと自分は認識していた。間も置かず賛辞を口にしては誤摩化して。無闇に警戒させたい訳ではなかった。努めて穏やかな声で話し掛けた。>>136]はい、ニコラスと申します。貴方のお名前は…。[知っている癖に。相手から名前を教えられればなぞるように繰り返す。]