― ウェントゥスの里 ―
[出発を定めた後、自室に戻って手紙を書き始める。
内容は、至ってシンプルなもの。
騎士団との戦いの事には触れる事無く、一族の者を無事に返してくれた事への感謝を最初に綴って、それから]
『オレはこれから、北島へ行きます。
理由は二つ。一つは、北の森の同胞に会うため。
もう一つは、北島のアレイゼル卿との約を果たすため。
ウェントゥスの風は、解放軍の作る新しい流れの先を見る事を望んでいます。
まだ少し、意見の調整とかで時間はかかるかも知れないけど、後で族長イムベルからの使いが向かうはず。
それまでに戻れるようにはするつもりだけど、遅くなりそうな時は、ウチの頑固親父をよろしくお願いします。
ヴェルザンディ・ウェントゥス』