[>>157役に立たない、という率直な言葉は自嘲めいた笑みが浮かんだ。
此方は姿を見かけたことはあるが、彼は自分を知らないらしい。
それも仕方がない。食堂に集う人間の顔を一人一人覚えてはいないだろう。]
怪我人ではあるが曹長程ではないし、簡単に殺されるつもりもない。
これでもローゼスの軍人だ。
…まぁ、どうせ死ぬのなら何かしらの役に立って死にたいものだがな。
[最後の言葉は聞こえたかどうかは分からない独り言。
男は自身を駒だと捉えている。それと同時に刺し違えてでもカシムの敵は…と考えていた。
自分が死んでもカシムは喜ばないかもしれないが、それで男の心は動かない。
平和の礎となって死ぬのならむしろ本望。
――それで終わりが来るのなら、兄も許してくれるだろうと。
エレン、と名を呼んだところで、ようやく大尉がいたことに気付いた。]
……大尉も同意見ですか?
[苦笑交じりに彼に問い掛ける。
昨日少し話をしただけだが、覚えていてくれないだろうか。などと淡い期待を抱きつつ。]