[這いつくばり、それでも身を動かす少女>>167。
その向かう先は無意識的にか、柊の樹がある方向。
氷落としたその葉は雪の中に在りても常緑で、僅かにではあるが生命の気配めいたものを感じるだろう。
そして、白き花より漂う木犀と似た甘い香りも、落ちる寸前の恍惚とした意識へ届いたかもしれず]
そうか。
[先回りし、頭の近くへ屈み込んだ氷華へ、白き呼気と共に吐き出された言葉が届く]
言い残すは、それだけか?
[うつ伏せに倒れた少女の、足元から這い上るように、氷の結晶がその身を覆っていく。
それは奪うためでなく与えるための氷、常識に反し少女の命を奪うことはしない]
[そして、内面にはまだ、氷の力は及んでおらず。
その内に残る少女自身の意志を確かめるように、顎に手をやり顔を上向かす*]