ところで、あいつらとはなんの話してたんだ?
[さっきまで話していたアリーセのほうに視線を向ければ、
此方はなにやら別の男と話している様子。
アリーセもそうだが、男のほうにはより見覚えがあった。
確か、自分の同業者だったかと思う。
尤も、技量も経験も此方よりもずっと上であるし、
自分のような半分チンピラに片足突っ込んでいるのとは訳が違うが]
つか、ここで酒を飲むのも今日で終いか。
……寂しくなるわなぁ。
[最後の言葉は割と本心からだった。
マスターは日頃の言動こそおかしいが、料理と出す酒の品揃えは確かで、そこに集う冒険者たちもひと癖もふた癖もあるような連中ばかり。
この街に来てからここで過ごした日々は、なかなかに充実したものだった]