うん、これにしましょう。 [軽く右手の指をこすりあわせれば、件の虹貨が一枚現れる。金貨の髪の色のような緑、虹の名を持つはずのそれは、鮮やかさより渋みが勝る重い輝きを放っているそれを、鎖に下げて己が首へとかけた。ベネディクト・コーカ、ベネディクト虹貨……彼の偽名は元ネタを知るものからしたら噴飯ものだっただろうけれど、残念ながらというべきか、今この場にはそのような存在はいない。我ながらよい名前をつけた、ツッコミ不在故に金貨は上機嫌で辺りの散策をはじめるのだった。**]