[ヨアヒムの声は静かな倉庫に思いのほか響いたんだったか。感情に支配される余りに人が居た事に気が付かなかった…は大袈裟に肩を震わせた。]
ヨアヒム、さん…。
[声がした方へと振り返る。何時から其処に居て、呟きを聞かれたかどうか訊ねたかったが、今更かもしれないが怪しまれると思い口を噤む。
ヨアヒムの視線を追えば、先にはゲルトの無惨な死体が。]
ええ、本当に。可哀想に。
……痛かったでしょうね。
[さも辛そうに眉を顰めてみせる。その言葉に嘘はない。可哀想だ、と思う。
ただ、普段浮かべている笑顔と同様に薄っぺらい同情だった。]